リソース管理とは、人材・時間・設備・予算などの限られた経営資源を把握し、プロジェクトへ適切に配分する取り組みです。とくに複数のプロジェクトが同時に進む会社では、「誰が・どの案件に・いつまで・どの程度参加するのか」を管理する人的リソース管理が重要になります。
一方、Excelや担当者の経験だけで管理していると、案件数やメンバー数が増えるにつれて、稼働の重複や更新漏れが起こりやすくなります。本記事では、リソース管理の基本から、人的リソースを最適化する考え方、具体的な進め方、管理を仕組み化するポイントまで解説します。
リソース管理とは
リソース管理とは、事業やプロジェクトを進めるために必要な資源を把握し、計画的に配分・調整することです。管理対象には、主に次のようなものがあります。
- 人材:メンバーの人数、役割、スキル、経験
- 時間:作業期間、稼働時間、スケジュール
- 設備:機材、作業場所、システム環境
- 予算:人件費、外注費、設備費など
- 情報:プロジェクトの要件、進捗、過去の実績
これらの中でも、プロジェクト型のビジネスでは人材と時間の管理が重要です。必要なスキルを持つ人がいても、同じ時期に別の案件へ参加していれば、新しいプロジェクトには配置できません。そのため、人数だけではなく、スキルと稼働予定を時間軸で確認する必要があります。
人的リソース管理とは
人的リソース管理とは、人材のスキルや経験、稼働状況を把握し、各プロジェクトへ適切に配置する取り組みです。具体的には、次のような情報を管理します。
- 誰がどのプロジェクトへ参加しているか
- いつからいつまで参加する予定か
- どの程度の工数・稼働率を割り当てているか
- 案件に必要なスキルや経験を持っているか
- 複数案件の兼務によって負荷が偏っていないか
- 数か月先に空きや不足が発生しないか
現在の配置状況だけでなく、将来の予定まで見通せる状態にすることが、人的リソース管理のポイントです。
プロジェクト管理・タスク管理・アサイン管理との違い
| 管理の種類 | 主な対象 | 主な目的 |
|---|---|---|
| リソース管理 | 人材・時間・設備・予算 | 限られた資源を適切に配分する |
| プロジェクト管理 | 進捗・予算・品質・リスク | プロジェクトを計画どおりに完了させる |
| タスク管理 | 個々の作業・担当者・期限 | 作業の抜け漏れや遅延を防ぐ |
| アサイン管理 | 人材・案件・参加期間・稼働率 | 誰をいつどの案件へ配置するか判断する |
プロジェクト管理やタスク管理が個別案件の遂行を中心に考えるのに対し、リソース管理・アサイン管理は、複数の案件を横断して人材を確認する点に特徴があります。詳しくは「アサイン管理とタスク管理の違い」も参考にしてください。
人的リソース管理が重要な理由
人材不足と過剰稼働を早期に把握できる
必要な人材を確保できていない状態でプロジェクトを開始すると、一部のメンバーへ業務が集中し、残業の増加や品質低下、スケジュール遅延につながります。反対に、案件の終了時期を把握できていなければ、稼働できるメンバーがいるのに次の配置が決まらず、待機が発生することもあります。
数か月先までの配置予定を確認できれば、人材が不足する時期や空きが生じる時期を早めに捉え、採用・外注・配置変更などを検討できます。
複数プロジェクト間の重複を防げる
プロジェクトごとに別の管理表を使っていると、同じメンバーが複数の案件へ過剰に割り当てられていても、全体では気づきにくくなります。月単位では余裕があるように見えても、特定の週に作業が集中している場合もあります。
人を軸にして複数案件の参加予定を並べることで、兼務状況や負荷の偏りを確認しやすくなります。
営業・採用・外注の判断に活用できる
人的リソースの見通しは、現場だけでなく経営や営業の判断にも関係します。将来の空き状況と不足するスキルが分かれば、次のような判断を具体化できます。
- 新しい案件を受注できるか
- 案件の開始時期を調整する必要があるか
- どの職種・スキルの人材を採用するか
- 外部パートナーをいつ確保するか
- 社内で育成や配置転換を進めるか
リソース情報を共通の判断材料にすることで、営業と現場の認識差も小さくできます。
リソース最適化とは
リソース最適化とは、限られた人材や時間を、事業やプロジェクトの優先順位に応じて適切に配分することです。人的リソースの場合は、メンバーの空き状況だけでなく、スキル・経験・負荷・本人の成長なども踏まえて配置を考えます。
リソース最適化の目的は、全員の予定を隙間なく埋めることではありません。
予期しない作業や案件の変更に対応できる余力を残しながら、組織全体として成果を出しやすい配置を実現することが重要です。
稼働率の最大化との違い
| 考え方 | 重視すること | 注意点 |
|---|---|---|
| 稼働率の最大化 | 予定をできるだけ埋める | 追加対応やトラブルを吸収しにくい |
| リソース最適化 | スキル・負荷・優先順位・余力のバランス | 配置の基準や共通データが必要 |
人的リソースが最適化されている状態
- 現在と将来の稼働状況が見える
- 必要なスキルを持つ人材を探せる
- 過剰稼働と待機が一部に偏っていない
- 確定案件と提案中案件を区別して管理できる
- 配置変更の理由を関係者へ説明できる
- 営業・現場・経営が同じ情報を参照できる
この状態を継続するためには、ツールの導入だけでなく、情報を更新するルールと定期的に見直す場も必要です。
リソース管理で起こりやすい課題
Excel管理が属人化している
Excelは、少人数・少数案件の管理を始めるには便利です。しかし、人数や案件数が増えると、ファイルの複雑化や更新負担が課題になります。
- どのファイルが最新版か分からない
- 管理表が部門や案件ごとに分かれている
- 関数や書式が崩れ、担当者しか修正できない
- 会議のたびに転記・集計が必要になる
- 更新されているか関係者へ個別確認している
Excelそのものが問題なのではなく、管理対象が増えているのに、少人数のときと同じ運用を続けることで負担が大きくなります。Excelでの管理方法については「要員計画表の作り方とアサイン管理ツール」でも解説しています。
複数プロジェクトを横断して確認できない
個々のプロジェクトでは適切に見える配置でも、会社全体で見ると特定のメンバーへ案件が集中していることがあります。プロジェクトごとの管理表だけでは、兼務状況や次の案件との重複を把握しにくいためです。
担当者の経験や勘に依存している
「この案件なら、いつものメンバーに依頼する」といった判断が続くと、特定の人材に負荷が集中しやすくなります。また、他のメンバーが持つスキルや経験が見えなければ、候補者の検討範囲も広がりません。
担当者の知識は重要ですが、判断の根拠となる情報を共有し、複数人で配置を検討できる状態にする必要があります。
計画と実際の稼働に差が出ている
アサイン計画を作成しても、実際のプロジェクトでは予定外の作業や遅延が発生します。計画を登録したまま見直さなければ、管理表と現場の状況がずれ、次の配置判断にも影響します。
計画と実績の差を定期的に確認し、見積もりや配置計画へ反映することが大切です。
人的リソースを最適化する5つのステップ
1.管理する対象と単位を決める
最初からすべてを細かく管理しようとすると、入力負担が増え、運用が続きません。まずは、配置判断に必要な範囲を決めます。
- 対象者:社員のみか、業務委託・外部パートナーも含めるか
- 対象案件:確定案件のみか、提案中・見込み案件も含めるか
- 期間:週単位または月単位のどちらで確認するか
- 管理単位:工数、稼働率、人数のどれを利用するか
まずは月単位の稼働率から始め、必要に応じて週単位へ細分化する方法もあります。
2.人材・案件・期間を一覧化する
次に、配置判断に必要な情報を整理します。最低限、次の項目を共通化します。
- メンバー名、所属、役割
- 保有スキル、業務経験
- プロジェクト名
- 参加予定期間
- 想定工数または稼働率
- 確定・仮予定の区分
項目を増やしすぎず、実際に配置判断へ使う情報から整備することが継続のポイントです。
3.将来の予定を含めて仮アサインする
確定案件だけを登録しても、将来のリソース不足は把握できません。受注前の案件や開始時期が確定していない案件についても、確度を区別したうえで仮アサインします。
仮アサインを行うと、「複数の提案が同時に受注した場合に不足する」「特定スキルの担当者だけ重複する」といったリスクを、受注前から確認できます。
4.スキルと稼働負荷を考慮して調整する
空いている人をそのまま配置するのではなく、案件に必要なスキルや経験、現在の負荷を確認します。あわせて、育成の機会、属人化の解消、本人のキャリアなども考慮すると、短期的な穴埋めだけではない配置につながります。
また、突発対応を考慮し、計画上の稼働率を常に100%にしないことも重要です。
5.定期的に計画を更新する
リソース計画は一度作って終わりではありません。案件の延期、追加要望、メンバーの休暇などにより、状況は変化します。
- 週次または月次で配置状況を確認する
- 案件の開始・終了時期を更新する
- 仮アサインを確定・失注などの状態へ変更する
- 計画と実績の差を振り返る
- 誰が情報を更新するか明確にする
会議の目的も、情報収集ではなく、可視化された情報をもとに配置を判断することへ変えていきます。
複数プロジェクトのリソース管理を効率化する方法
プロジェクト間でリソース利用率を最適化する
プロジェクト間でリソース利用率を最適化するには、案件ごとの管理だけでなく、人を軸にした横断的な確認が必要です。
- すべての案件を共通の時間軸に並べる
- メンバーごとに兼務案件と稼働率を集計する
- 確定案件と提案中案件を見分けられるようにする
- スキル別に不足する時期を確認する
- 優先順位をもとに配置を調整する
全社平均の稼働率だけでは、負荷の偏りは分かりません。部門、職種、スキル、個人など、複数の切り口で確認することが重要です。
リソース計画の手作業を減らす
リソース計画の手作業を減らすには、管理表の見た目を整えるより、情報が重複している箇所を見直します。
- 管理表を一本化し、参照先を統一する
- 同じ情報を複数のファイルへ転記しない
- 所属や役割などの表記ルールを統一する
- 会議資料を別に作らず、管理画面を直接確認する
- 更新頻度と担当者を決める
入力項目を増やす前に、「この情報は誰が、どの判断に使うのか」を確認すると、不要な更新作業を減らせます。
リソース管理を仕組み化する
リソース管理の仕組み化には、次の3点が必要です。
1
管理ルール
対象、単位、更新頻度を統一する
2
運用責任
誰が入力・確認・承認するか決める
3
共通の管理基盤
関係者が同じ情報を参照できるようにする
ツールを導入しても、更新ルールがなければ情報は古くなります。反対に、運用ルールだけ整えても、転記や集計の負担が大きければ継続が難しくなります。ルールと管理基盤をセットで見直すことが大切です。
リソース管理ツールの選び方
Excelが適しているケース
次のような状況であれば、Excelでも十分に管理できます。
- 管理する人数と案件数が少ない
- 兼務が少なく、配置の変更頻度も低い
- 管理表を更新する担当者が限定されている
- 将来のシミュレーションや複雑な集計が不要
専用ツールを検討すべきケース
- 複数のプロジェクトが並行している
- 複数案件を兼務するメンバーが多い
- 数か月先の空きや不足を把握したい
- Excelの更新や会議資料の作成に時間がかかる
- 部門や担当者ごとに管理表が分かれている
- スキルを考慮した配置を行いたい
ツール選定で確認するポイント
- 人員配置を時系列で確認できるか
- 人軸とプロジェクト軸の両方で確認できるか
- 確定前の案件を仮アサインできるか
- 役割・スキル・所属などで候補者を探せるか
- 兼務を含めた負荷を把握できるか
- 入力・更新が簡単で、現場が継続して利用できるか
- 既存の業務やシステムとデータ連携できるか
多機能であることより、自社のリソース管理で必要な判断を支援できることが重要です。ツールごとの用途や違いは「アサイン管理・人材リソース関連ツールの比較」で紹介しています。
Co-Assignによる人的リソース管理
Co-Assign(コーアサイン)は、複数プロジェクトにおける人材配置を管理するアサイン管理ツールです。「誰が・どの案件に・いつまで」参加するのかを、人軸・プロジェクト軸の両方から確認できます。
現在の配置だけでなく、将来の稼働予定や仮アサインを登録できるため、案件の受注前からリソースの重複や不足を検討できます。また、役割・スキル・所属といった人材情報を、配置判断に活用できます。
Co-Assignで管理できる主な情報
- メンバーとプロジェクトの参加予定
- 参加期間と計画稼働率
- 確定アサインと仮アサイン
- 役割・スキル・所属
- 人軸・プロジェクト軸で見た稼働状況
- 月・週・日単位での表示切り替え
- 計画と実績の確認
タスクの進捗管理ではなく、複数プロジェクトを横断した人材配置の計画と調整を支援することに重点を置いています。
導入企業における活用例
フラー株式会社
人材リソースと将来の稼働見通しを可視化し、アサイン調整・アサイン管理・予定管理にかかる工数を7割削減。直近の状況確認だけでなく、数か月先の計画を議論できるようになりました。
株式会社USEN-ALMEX
タスク管理ツールでは把握しにくかった、複数プロジェクトを横断するアサイン状況を可視化。人員配置に関する情報共有と調整に活用しています。
そのほかの活用方法は「Co-Assign導入事例」で紹介しています。
リソース管理に関するよくある質問
リソース配分とは何ですか?
リソース配分とは、人材・時間・予算などを、優先順位や必要性に応じて各プロジェクトへ割り当てることです。人的リソースの場合は、人数だけでなく、スキル、参加期間、稼働率を考慮して配分します。
リソース確保とは何ですか?
リソース確保とは、プロジェクトに必要な人材や時間、設備を、必要な時期に利用できる状態にすることです。社内での配置だけでなく、採用、外注、他部門からの応援なども含まれます。
リソース管理を仕組み化するにはどうすればよいですか?
管理する対象と単位を決め、更新ルール、担当者、参照する管理基盤を統一します。最初から細かいデータを集めるのではなく、実際の配置判断に使う情報から始めることが重要です。
リソース計画の手作業を減らす方法はありますか?
複数の管理表への二重入力や、会議資料への転記を減らすことから始めます。情報の参照先を一本化し、同じ画面を見ながら会議を行うと、資料作成や状況確認の負担を減らせます。
プロジェクト間でリソース利用率を最適化するにはどうすればよいですか?
すべての案件を共通の時間軸に並べ、人ごとの兼務状況と稼働率を確認します。そのうえで、案件の優先順位、必要なスキル、将来の見込み案件を踏まえて配置を調整します。全社平均だけでなく、職種や個人ごとの負荷を見ることも必要です。
まとめ
リソース管理では、人材や時間を把握するだけでなく、複数のプロジェクトへ適切に配分し、状況の変化に応じて調整することが重要です。とくに人的リソースを管理する場合は、現在の稼働状況に加え、将来の予定、スキル、兼務状況まで確認する必要があります。
リソース最適化は、全員の予定を埋めることではありません。必要な余力を残しながら、事業の優先順位とメンバーのスキルに合った配置を実現することです。
Excelの更新や集計、アサイン会議の準備に負担を感じている場合は、まず管理項目と更新ルールを整理し、必要に応じて共通の管理基盤や専用ツールの活用を検討してみてください。
















