企業のデジタル戦略構築からプロダクト開発・グロースまで、ワンチームで伴走支援する「デジタルパートナー事業」を手がけるフラー株式会社は、プロジェクト管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)を目的として、開発リソース最適化プラットフォーム「Co-Assign」(コーアサイン)を導入しました。
社内の人材リソースを適切に可視化したことで、これまで煩雑だったアサイン調整・予定管理工数を7割削減、会社全体を巻き込んだ新たな組織体制への移行を促すきっかけにもなりました。フラーはどのような課題からCo-Assignを導入し、実際にどう活用して課題解決につなげているのでしょうか。フラー執行役員CTO兼エンジニアリンググループ長の伊津惇様と、エンジニアリンググループ組織管理ユニットの松崎明登様にお話を伺いました。
ー お二人の役割や業務を教えてください。
伊津様(執行役員CTO兼エンジニアリンググループ長):会社全体における技術方針・方向性の策定、人材リソースの最適化や採用活動、各プロジェクトの安定進行について、最高技術責任者として統括しています。
松崎様:デジタルパートナー事業全体のバックオフィス業務、予実管理、入社対応、ツール管理・権限設定などを担当しています。今回のCo-Assignのメインユーザーとして、導入に向けた社内調整も担当しました。
- Co-Assign導入前、フラー社内ではプロジェクトを遂行する上で
どのような課題がありましたか?
伊津様:従来フラーでは、エンジニア・デザイナー・プロジェクトマネージャーなどプロジェクト遂行に必要なさまざまな職種の人材を、ひとまとまりのチームとする組織体制を採用していました。
ひとつの大きな組織として、リソース管理やアサイン調整を行っていましたが、ここ2年で事業の伸長とともにメンバーやプロジェクトが急増したため、人材リソースを取り巻く管理が膨大かつ複雑で難易度が高くなっていました。メンバーの教育や成長の観点も踏まえ、昨年秋ごろから職能別の新たな組織体制への移行を検討していたのですが、まさにこの人材リソースを取り巻く管理の難しさが課題で踏み切れずにいました。
具体的には、毎週1回開くマネージャー10名による会議が、メンバーのアサイン調整や現状の稼働状況の確認だけで終わってしまう状態でした。長期の見通しまでなかなか話が及ばず、先の見通しを立てた上での建設的な議論ができなかったのが一番悩ましい課題でした。先の見通しが立たないがために、会議外で個別にSlackでやり取りするなどの余計なコミュニケーションコストもかなり生じていました。
- Co-Assignをご導入いただいた決め手を教えてください。
伊津様:決め手はリソースの見通しが見れる点です。いつから、どのメンバーが、どんなアサインを予定していて、各メンバーの稼働率がどうなっているかを、先々まで見れることが非常に大きく、導入を決めました。
- 現在のCo-Assignの利用状況を教えてください。
伊津様:社員約40名で利用しています。メインで使っているポジションは、①各プロジェクトの担当プロジェクトマネージャー、②各プロジェクトの開発マネジャー(技術者側の取りまとめ役)、③各職能別組織のマネージャーの大きく3つになります。特に、各職能別組織のマネージャーは、毎週必ずログインして使っています。Co-Assignで管理しているプロジェクトは、現在約100件です。
- Co-Assignを導入したことで最も実感している成果は何ですか?
伊津様:最も大きな成果は、Co-Assignを導入したことで、今年の4月に職能別の新たな組織体制への移行に踏み切れたことです。エンジニア・デザイナー・プロジェクトマネージャーといったさまざまな職種の人材を、ひとまとまりのチームとする組織体制から職能別の組織に移行するとともに、各組織を横断したプロジェクトチームを組成する体制になりました。これは、Co-Assignで人材リソースを適切に可視化したことで稼働の見通しが立ち、アサイン調整がしやすくなったおかげです。
「リソース管理」に関する課題に対して、Co-Assign がどのような機能を提供しているかは、 機能:リソース管理 にて画面を交えながらご説明しています。
- ほかにもCo-Assignの導入効果があればぜひ教えてください。
伊津様:Co-Assign導入前、管理ツールとしてスプレッドシートを利用していましたが、縦軸にプロジェクト、横軸に役割を並べて各セルにメンバーの名前を埋めるという古典的な方法だったため、その時点のアサイン状況が分かっても、先々の予定までは管理できていませんでした。シートも分かれているなどして一覧性も低く、結局、当事者にそれぞれ状況を聞いて回る状態でした。
Co-Assign導入後は、スプレッドシートでの管理に比べ、個別の確認やメンバーへのヒアリングが減るのと同時に、コミュニケーションそのものの質が上がりました。Co-Assignで誰でも全体のアサイン状況を把握することができるようになったことで、週1回のマネージャー会議で時間を要していた直近の状況確認が不要となった分、メンバー毎のきめ細かなアサイン調整や数ヶ月先の計画の議論に時間を充てることができるようになったからです。これまで後手に回っていた体制構築や調整などに、先回りして対応できるようになったと感じています。
松崎様:従来はエクセルで管理していたので可視化できていない部分もありましたが、Co-Assign導入後は兼務の際の稼働実態など含めてより深く、より細かく工数を把握できるようになりました。
Co-Assignからエクスポートした予定データを、会計や勤怠管理など他の仕組みの業務委託費用や勤怠実績データと照らし合わせて分析できるようになった点も大きく、工数の予実管理が圧倒的にしやすくなりました。とても使いやすく便利なので、今後は業務委託メンバーの稼働実績管理もCo-Assignに統一していく予定です。
- Co-Assignに今後期待することは何ですか?
伊津様:人材リソースの見通しを立てる機能について、UIをより見やすくするなどの改善を継続していただけたら嬉しいですね。特に、プロジェクト軸でのアサイン予定管理画面と、メンバー軸でのアサイン予定管理画面は検索機能を含めて頻繁に使っていますので、より進化していくことを期待しています。
また、将来的には、「空きを埋める」のではなくメンバーの志向やその後の成長も踏まえた「ポジティブなアサイン」をしていきたいと思っています。Co-Assignを足掛かりに、メンバーの育成や評価も視野に入れた「攻めの要員計画」を立てられるようになれば、メンバー個人の成長を促し、会社の事業成長にもつなげられると確信しています。