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アサイン管理について

公開日:2026.06.08

『人軸×案件軸』で可視化!繁忙期リソース不足警戒リストの具体的な作り方

システム開発部門では、リリース前、年度末、複数案件の立ち上がり時期など、特定のタイミングでリソースが一気にひっ迫することがあります。

そのときに問題になるのが、
「誰が、どの案件に、どれだけアサインされているのか」
「どの案件で、いつリソース不足が起きそうなのか」
が見えにくいことです。

経験のあるマネージャーであれば、ある程度は頭の中で状況を把握できるかもしれません。しかし、案件数やメンバー数が増えるほど、勘や経験だけでリソース不足の予兆をつかむことは難しくなります。

そこで有効なのが、“人軸×案件軸”でアサイン状況を可視化し、繁忙期に向けた「リソース不足警戒リスト」を作成する方法です。

本記事では、システム開発部門のマネージャー向けに、繁忙期のリソース不足を早期に発見するための考え方と、警戒リストの具体的な作り方を解説します。

なぜ繁忙期のリソース不足は見逃されやすいのか

アサイン状況が担当者の頭の中に分散している

多くの開発現場では、案件ごとの体制表やスケジュール表は存在していても、組織全体のアサイン状況までは十分に可視化されていないことがあります。

たとえば、あるマネージャーは自分の担当案件については把握していても、他案件で同じメンバーがどれだけ稼働しているかまでは見えにくいケースがあります。

その結果、個別案件では問題がなさそうに見えても、組織全体で見ると特定の人材に負荷が集中している、という状態が起こります。

一人が複数案件を兼務する構造になっている

システム開発部門では、一人のエンジニアが複数案件を並行して担当することは珍しくありません。

特に、PM、PL、アーキテクト、インフラ担当、特定技術に詳しいエンジニアなどは、複数案件から同時に必要とされやすい人材です。

一方で、案件側から見ると「必要なタイミングで必要な人が入ってくれる前提」で計画が立てられていることもあります。

しかし実際には、同じ時期に複数案件の山場が重なり、想定以上にリソースが不足することがあります。

リソース不足の予兆が見えたときには手遅れになりやすい

リソース不足は、ある日突然発生するというより、事前にいくつかの予兆があります。

たとえば、次のような状態です。

  • 特定メンバーの稼働率が継続的に高い
  • 複数案件のピーク時期が重なっている
  • 重要案件に必要なスキルを持つ人が限られている
  • バックアップ要員がいない
  • 応援を依頼できる余力が他チームにもない

こうした予兆を早い段階で把握できれば、アサインの見直しやスケジュール調整、外部リソースの検討など、事前に対策を取ることができます。

逆に、リソース不足が顕在化してから対応しようとすると、残業、納期調整、品質低下、メンバーの疲弊といった問題につながりやすくなります。

リソース不足を防ぐ鍵は“人軸×案件軸”の可視化

人から見るだけでは不十分

リソース管理では、「誰がどれくらい稼働しているか」を見ることが重要です。

しかし、人ごとの稼働率だけを見ていても、どの案件が原因で負荷が高まっているのか、どの案件にリソースが不足しているのかまでは把握しにくいことがあります。

たとえば、あるメンバーの稼働率が120%になっていたとしても、その要因が案件Aなのか、案件Bなのか、複数案件の重なりなのかが見えなければ、具体的な対策につなげにくくなります。

案件から見るだけでも不十分

一方で、案件ごとの体制や必要工数だけを見ていても、メンバー側の負荷は見えにくくなります。

案件Aでは必要な人員が確保できているように見えても、そのメンバーが別案件でも重要な役割を担っていれば、実際には十分なリソースを確保できていない可能性があります。

そのため、繁忙期のリソース不足を早期に発見するには、「人軸」と「案件軸」の両方からアサイン状況を見ることが重要です。

“人軸×案件軸”で見るとリスクの重なりが見える

“人軸×案件軸”でアサイン状況を整理すると、次のような点が見えやすくなります。

  • 誰がどの案件にどれだけ関わっているか
  • どの人材に負荷が集中しているか
  • どの案件で必要なリソースが不足しているか
  • 複数案件のピークがどこで重なっているか
  • 特定スキルを持つ人材が不足しそうな時期はいつか

このように、個別の案件管理や人員管理だけでは見えにくい「リソース不足の予兆」を、組織全体で把握しやすくなります。

繁忙期リソース不足警戒リストとは

繁忙期リソース不足警戒リストとは、繁忙期に向けて、リソース不足が発生しそうな人・案件・スキル・時期を事前に整理したリストです。

単なるアサイン表ではなく、「どこに注意すべきか」を明確にするための管理資料です。

たとえば、次のような項目をリスト化します。

  • 稼働率が高くなりそうなメンバー
  • 必要工数に対してアサインが不足している案件
  • 特定スキルを持つ人材が集中している案件
  • ピーク時期が重なっている案件
  • バックアップ要員がいない役割
  • 早めに調整が必要なアサイン

このリストを作成しておくことで、繁忙期に入ってから慌てて対応するのではなく、事前に手を打ちやすくなります。

警戒リストの具体的な作り方

1. 案件情報を整理する

まずは、繁忙期に関係する案件情報を整理します。

最低限、以下の情報をまとめておくとよいでしょう。

  • 案件名
  • 開始日、終了日
  • 重要なマイルストーン
  • リリース日、納期
  • 案件の重要度
  • 必要な役割
  • 必要な工数
  • ピークとなる時期

ここで重要なのは、案件名だけを並べるのではなく、「いつ、どの役割に、どれだけのリソースが必要になるのか」まで整理することです。

特に、リリース前、テスト工程、要件定義、移行作業など、特定の工程でリソースが集中する場合は、ピーク時期を明確にしておきます。

2. メンバー情報を整理する

次に、メンバー側の情報を整理します。

確認すべき主な項目は以下です。

  • 氏名
  • 所属チーム
  • 保有スキル
  • 担当可能な役割
  • 稼働可能時間
  • 現在のアサイン状況
  • 兼務している案件
  • 休暇予定や稼働制約

特に注意したいのは、単に「空いているかどうか」だけで判断しないことです。

同じ40時間の空きがあったとしても、対応できるスキルや役割が合わなければ、実際にはアサインできない場合があります。

そのため、稼働可能時間とあわせて、スキルや役割の情報も整理しておくことが重要です。

3. “人軸×案件軸”のマトリクスを作る

案件情報とメンバー情報を整理したら、“人軸×案件軸”のマトリクスを作成します。

たとえば、縦軸に人、横軸に案件を配置し、各セルにアサイン工数や担当期間を入力します。

案件A 案件B 案件C
山田 20h 10h
佐藤 25h 15h
鈴木 15h 25h

このように整理することで、誰がどの案件にどれだけ関わっているのかが見えやすくなります。

週単位で見るのか、月単位で見るのかは、管理したい粒度に応じて決めます。繁忙期の警戒を目的にする場合は、月単位だけでなく、必要に応じて週単位でも確認できる形にしておくと実務に使いやすくなります。

4. 稼働率と必要工数のしきい値を設定する

次に、リスクを判断するためのしきい値を設定します。

たとえば、次のような基準です。

  • 稼働率が100%を超える場合は要注意
  • 稼働率が120%を超える場合は早急に調整
  • 重要案件で必要工数の80%未満しか確保できていない場合は警戒
  • 特定スキルの担当者が1名しかいない場合はバックアップ要確認

しきい値を設定することで、「なんとなく忙しそう」ではなく、定量的にリスクを判断できるようになります。

ただし、しきい値は組織や案件の特性によって異なります。単純に100%を超えたらすべて問題とするのではなく、案件の重要度、メンバーの役割、期間の長さなども踏まえて判断することが大切です。

5. 繁忙期のピークをシミュレーションする

マトリクスを作成したら、繁忙期のピーク時期を想定してシミュレーションします。

確認すべきポイントは、次の通りです。

  • 複数案件のリリース時期が重なっていないか
  • 同じメンバーが複数案件のピークに入っていないか
  • PMやPLなど、特定の役割に負荷が集中していないか
  • インフラ、QA、特定技術などの専門人材が不足していないか
  • 重要案件に必要な経験者を確保できているか

この段階では、確定情報だけでなく、見込み情報も含めて確認することが重要です。

繁忙期のリソース不足は、確定してから対応するのでは遅い場合があります。
「この案件が予定通り進むと、来月後半に山場が重なるかもしれない」という段階で把握できれば、早めに調整の余地をつくることができます。

6. 警戒リストに落とし込む

シミュレーションの結果、リスクが高いと判断した項目を警戒リストに落とし込みます。

警戒リストには、次のような項目を入れると実務で使いやすくなります。

区分 対象 リスク内容 時期 対応方針
山田 案件Aと案件Bのピークが重なり、稼働率が120%見込み 6月第3週 案件Bの一部作業を佐藤へ移管検討
案件 案件C インフラ担当が1名のみでバックアップ不在 6月中旬 外部支援または社内応援を検討
スキル QA テスト工程が複数案件で重なり、担当者不足 7月上旬 テスト計画の前倒しと要員追加を検討

ポイントは、単にリスクを並べるだけでなく、「いつ」「何が起きそうで」「どう対応するか」まで記載することです。

これにより、定例会議やマネージャー間の調整で、具体的なアクションにつなげやすくなります。

警戒リスト作成後に検討すべき対策

アサインの再調整

まず検討すべきは、既存アサインの見直しです。

特定メンバーに負荷が集中している場合は、他メンバーへの作業移管や、担当範囲の見直しを検討します。

ただし、単純に空いている人へ振り替えるだけでは、品質やスピードに影響する可能性があります。スキル、経験、案件理解度を踏まえて、現実的な再調整を行うことが重要です。

案件スケジュールの前倒し・後ろ倒し

リソース不足が明らかな場合は、案件スケジュールの調整も選択肢になります。

たとえば、テスト工程の一部を前倒しする、レビュー時期をずらす、リリース前の確認作業を分散するなど、ピークをならす工夫が考えられます。

すべての納期を動かせるわけではありませんが、早い段階でリスクを把握できれば、関係者との調整もしやすくなります。

外部リソースや他チームからの応援を検討する

社内だけで解決できない場合は、外部リソースや他チームからの応援も検討します。

このときも、リソース不足が顕在化してから依頼するのではなく、警戒リストをもとに早めに相談を始めることが重要です。

必要なスキルや期間が明確になっていれば、外部パートナーや他部門への依頼もしやすくなります。

バックアップ体制を整える

特定の人にしか対応できない作業がある場合は、バックアップ体制の整備も重要です。

短期的には作業分担やレビュー体制の見直し、中長期的にはスキル共有や育成によって、属人化を減らしていく必要があります。

繁忙期の警戒リストは、単なる短期対策だけでなく、組織としてどのスキルが不足しているのかを把握する材料にもなります。

警戒リストを運用する際の注意点

作って終わりにしない

警戒リストは、一度作成して終わりではありません。

案件の進捗、メンバーの状況、顧客都合によるスケジュール変更などによって、リソース状況は常に変化します。

そのため、週次や月次の定例会議で確認し、必要に応じて更新する運用が欠かせません。

最新情報を反映できる状態にする

警戒リストの精度は、元となるアサイン情報の正確さに左右されます。

古い情報のまま判断してしまうと、実態と異なるリスク判断につながります。特にExcelやスプレッドシートで管理している場合は、誰が更新するのか、どのタイミングで確認するのかを明確にしておくことが大切です。

会議で見て判断できる形にする

警戒リストは、管理者だけが見る資料ではなく、関係者間でアサイン調整を行うための共通資料として活用することが重要です。

そのため、細かすぎる情報を詰め込みすぎるよりも、会議の場で「どこが危ないのか」「何を決めるべきか」がすぐに分かる形にしておくと実用的です。

Co-Assignでできること

繁忙期のリソース不足を防ぐには、“人軸×案件軸”でアサイン状況を継続的に見える化することが重要です。

Co-Assignでは、誰がどの案件にどれだけアサインされているのかを、人材とプロジェクトの両方の視点から確認できます。

Excelやスプレッドシートでも警戒リストを作成することはできますが、案件数やメンバー数が増えるほど、更新や集計、関係者への共有に手間がかかりやすくなります。

まずは自社のアサイン状況を整理し、どこにリソース不足の予兆があるのかを把握することが第一歩です。
そのうえで、継続的にアサイン状況を確認する仕組みとして、専用ツールの活用を検討するのも一つの方法です。

まとめ

繁忙期のリソース不足は、発生してから対応するのではなく、事前に予兆をつかむことが重要です。

そのためには、「人が足りない」「忙しそう」といった感覚的な判断ではなく、“人軸×案件軸”でアサイン状況を整理し、どの人・どの案件・どの時期にリスクがあるのかを可視化する必要があります。

繁忙期リソース不足警戒リストを作成することで、以下のような対応がしやすくなります。

  • 負荷が集中するメンバーを早期に把握する
  • リソース不足が起きそうな案件を事前に確認する
  • 複数案件のピーク時期の重なりを調整する
  • スキル不足やバックアップ不在のリスクを見える化する
  • マネージャー間で具体的な対策を話し合う

アサイン管理は、単に予定を埋める作業ではありません。
繁忙期を乗り切るためのリスク管理であり、プロジェクトを安定して進めるための組織運営の基盤です。

まずは“人軸×案件軸”で現状を整理し、リソース不足の予兆を見逃さない仕組みづくりから始めてみてはいかがでしょうか。

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