アサイン管理について
公開日:2026.02.16
システム開発部門では、プロジェクトごとに最適な人材を柔軟に配置するため、マトリックス型組織を採用する企業が増えています。 専門性を活かしながら複数案件を横断できる点は大きな強みですが、一方で組織規模の拡大や案件の複雑化に伴い、別の課題が顕在化しやすくなります。
それが、いわゆる「サイロ化」です。サイロ化とは、部門やチームがそれぞれのミッションやKPIを優先するあまり、 情報やリソースの共有が滞り、組織全体としての最適な判断が難しくなる状態を指します。
B2Bのシステム開発現場では、サイロ化が進行すると、プロジェクト間の調整遅延、リソースの偏りや属人化、 品質低下や納期リスクの増大といった問題につながりかねません。
本記事では、マトリックス組織におけるサイロ化がなぜ起きるのかを整理したうえで、 その解消に向けた「アサイン管理」の考え方と、現場で実践しやすいポイントを解説します。

マトリックス型組織は、本来「専門性」と「横断性」を両立できる設計です。 しかし実際の現場では、次のような課題が積み重なり、サイロ化を助長しているケースが少なくありません。
担当者の配置状況や稼働状況が、プロジェクトごとの管理表、部門別のスプレッドシート、担当者個人のメモなどの形で分散して管理されていると、 全体像を把握することが難しくなります。
結果として、「誰がどれくらい余力を持っているのか」「他部門で調整できる余地があるのか」といった判断が、感覚頼りになりがちです。
「この人の稼働状況は、あのマネージャーしか分からない」「急に調整が必要になっても、まずは関係者へのヒアリングから始まる」―― このような状態では、リソース調整のたびに時間と労力がかかり、現場の負担が増えていきます。
プロジェクトの優先度や背景が十分に共有されていないと、「自部門の要員は自部門で確保する」という意識が強まり、 人材の囲い込みが起こりやすくなります。
その結果、全体では余力があるにもかかわらず、特定のプロジェクトだけが慢性的に逼迫するといった歪みが生じます。
これらの課題に共通しているのは、アサイン管理が“単なる配置表作成”にとどまっている点です。
サイロ化を防ぐためには、アサイン管理を人員配置や工数管理のための作業として捉えるのではなく、 組織横断で状況を共有し、判断を揃えるための基盤として再定義することが重要です。
その際、次の3つの視点が鍵になります。
部門やプロジェクトを越えて、リソース状況を共通認識として持てる状態をつくります。 誰が・どの案件に・どれくらい関わっているのかが見えることで、調整の前提が揃い、無用な摩擦を減らすことができます。
「どの基準でアサインを判断するのか」「優先度がぶつかった場合、何を軸に決めるのか」といった判断基準を明確にし、 部門間で共有することで、自部門最適に偏らない意思決定がしやすくなります。
プロジェクト状況や事業環境は常に変化します。一度決めたアサインを固定化せず、定期的に見直す仕組みを持つことで、 リソースの偏りやミスマッチを早期に発見できます。
ここからは、現場で実践しやすい具体的な取り組みを紹介します。
マトリックス組織におけるサイロ化は、構造上避けられない側面もあります。 しかし、アサイン管理の考え方と仕組みを見直すことで、その影響を最小限に抑えることは可能です。
情報を可視化し、判断基準を揃え、定期的に見直す。この積み重ねが、部門を越えた連携を生み、 組織全体の柔軟性と競争力を高めていきます。
システム開発部門のマネージャー・リーダーの方は、アサイン管理を「配置表作成」ではなく、 「組織をつなぐ仕組み」として捉え直すことから始めてみてはいかがでしょうか。
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